「競合が安くしたら、必ず高くする。」
「とにかく最高値で行く。」
「迷ったら高い方を選ぶ。」
もう20年来、一貫してこのような発言を繰り返して来られた京都イージーの岸本栄司さん。
私が独立して講演を始めた時も「シゲちゃん、もっと高くもらわんとあかんで。」って教えていただいた私の値付けの師匠です。
しかし昨日の「魂のプライシングセミナー」でお話頂いた時、改めて大変なことに気づいてしまいました。
「岸本さんは高く売っていたとずーっと思い込んでいたが、実は安く売っていた!」
。。。それはどういうことでしょうか?
こんな例えをしてみましょう。
1万円札を1万円で売っても売れないし
1000円札を1000円で売っても全然売れないが
5000円札を4000円で売ると。。。? 飛ぶように売れるでしょう(^-^)
現金ならとてもわかりやすいですけど、Tシャツの現場を考えてみるとどうでしょう?
衣料品で百貨店と量販店の売り場を想像して下さい。
百貨店:5000円〜10000円以上
量販店:2000円〜3000円台
百貨店で売っている人が、商品に研究開発を重ねて10000円台の最高値に行く。
量販店で売っている人が、商品に研究開発を重ねて3000円台の最高値に行く。
いい商品を作れ!と言われた時にこれはよくある話ですが、それだと先程の
1万円札を1万円で売っても売れないし
1000円札を1000円で売っても全然売れない
とそんなに変わらないと感じませんか? 利益は改善するかも知れませんが、劇的な販売量の増加、利益の増加はないでしょう。
でもこれだとどうでしょう?
「百貨店品質の5000円以上レベルのTシャツを、量販店の最高値3000円台に置く。」
え?この品質がこの値段でいいの? これはお買い得! というふうにならないでしょうか。
つまりこれは、
「高度な商品の研究開発 × 絶妙の売り場設定」
で、最高の儲けを生み出しているということですね。
これって、実は百貨店レベルの品質のものを安く売っているってことではないですか! 「高い」のは、売り場では最高値であるっていうことなんですよね。
「商品価値公式」というものを、スーパーマーケットの経営者に教えていただいたことがあります。
「商品価値=(品質+便益) ÷ 価格」
これに当てはめると
(品質+便益)= 10000円のものを、10000円出して買うのと
(品質+便益)= 1000円のものを、 1000円出して買うのとは
感じる価値は同じ「1」ということですね。
しかし
(品質+便益)= 5000円のものを、 4000円出して買う
これは商品価値は「1.25」となり、とてもいい買い物をしたと思うわけです。
商品の研究開発と言うと、商品の品質を良くすることだけに目が向いてしまいがちですが。。。岸本さんはTシャツの品質はもちろん、売り場を絶妙に設定することで、この商品価値を最大にし続けているとも言えますね。
プライシングを考えていくと、本当に奥深い!
[森本繁生が講師をする セミナー・イベント]
たくらみ屋主催共催イベントTOCセミナー一覧
家族MG一覧